墨田区墨田 たぬき寺

墨田区墨田にある多門寺は天徳年間(957~961)創建の真言宗のお寺です。仏教の守護神で福の神と言われている毘沙門天をご本尊として祀っています。このお寺は狸にまつわる伝承から別名「たぬき寺」と呼ばれています。曰く江戸時代以前、この辺りは草木の生い茂る河原で、毒蛇や「牛松」という大木の根元の穴に住み着いた妖怪狸など多数の妖怪がいる恐ろしい場所だった。そこで、和尚はその穴を塞ぎ、寺院を建立して妖怪を追い払うことにしたが、化け狸の悪戯は酷くなるばかりだった。ある晩、和尚の夢に大入道が現れ、手を引くよう脅した。そこで和尚が一心に本尊を拝むと、毘沙門天の使いが狸の前に現れ、説得を試みた。次の朝、二匹の狸が門前で死んでいるのを見つけた和尚と村人は彼らを哀れみ、牛松や狸の供養のために塚を築いた。因みに山門の茅葺屋根は切妻造四脚門という技法で区内最古の物だそうです。