墨田区堤通にある天台宗の木母寺は能、歌舞伎、浄瑠璃、舞踊などの作品の元となった梅若伝説が伝わるお寺です。平安時代、京都の貴族の子である梅若丸が、人買にさらわれ、連れ回された後に、隅田川のほとりで亡くなりました。そこに居合わせた高僧、忠円阿闍梨が、貞年元年(967)梅若丸の供養のために柳の木を植えて塚を築きました。梅若丸の死後1年が経ち、息子を捜し求めていた梅若丸の母親が、塚の前で念仏を唱えると、そこに梅若丸の亡霊が現れ、悲しみの対面を果たした。という伝説です。なお、伝説に登場する塚は、梅若塚として、現在、木母寺内に再現されています。そしてその隣には梅若丸の母が建てた念仏堂があります。